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体が柔らかい=怪我をしない」ってホント?あなたの常識、アップデートしませんか

「体が柔らかいほど怪我をしにくい!」そう信じて、毎日せっせとストレッチに励んでいるあなた!

実は、その常識、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?

最新の知見をもとに「柔軟性」の本当の姿をお伝えします!

 

そもそも「柔軟性」って何だろう?2つのタイプを知ろう!

 

「柔軟性」って一言で言っても、実は奥が深いんです。スポーツ科学において、柔軟性は「体の関節の可動範囲内で身体運動を円滑に、しかも広範囲に動かすことのできる性能」と定義されています。私たちの体力には欠かせない要素なんですよ。

柔軟性には大きく分けて2つのタイプがあります。

  • 静的柔軟性 (Static Flexibility): これは、動きを伴わずに、反動をつけずにゆっくりと関節や筋肉を伸ばし、その姿勢を数秒から数十秒間維持する方法で得られる柔軟性です。一般的に「体が柔らかい」と表現される際にイメージされるのは、この静的柔軟性であることが多く、長座体前屈や前後開脚などがその代表的な例です。
  • 動的柔軟性 (Dynamic Flexibility): 一方、動的柔軟性は、動きの中での体のしなやかさや動かしやすさを指します。これは、単に関節の可動域が広いだけでなく、その可動域の中で体をコントロールする能力、筋肉の強さ、そして動作のコーディネーション(協調性)が複合的に関与します。例えば、ウォーミングアップで行われるダイナミックストレッチは、コントロールされた動きの中で徐々に筋肉を伸ばしていく方法であり、競技パフォーマンスの向上に不可欠とされています。

この2つの違いを知っておくことが、怪我と柔軟性の関係を理解する上でとっても重要なんです!スポーツ選手にとって、静的柔軟性と動的柔軟性の両方が求められますが、特に競技中のパフォーマンスを向上させるためには、動的柔軟性の向上が欠かせません。

 

「柔らかければ安心」は間違い!?見過ごされがちな「落とし穴」

 

「体が柔らかいほど怪我をしにくい」という認識は、必ずしも真実ではないかもしれません。もしそうなら、極めて高い柔軟性を誇る体操選手やクラシックバレエのダンサーたちは、怪我とは無縁のはずですよね?しかし、彼らの競技人生もまた、怪我のリスクと隣り合わせであることは、スポーツ医学の現場ではよく知られています。

ここでキーワードになるのが「関節弛緩性(Joint Laxity)」という概念です。これは、関節を構成する靭帯などが生まれつき緩い、あるいは怪我などが原因で緩んでしまい、関節が本来の可動域を超えて過剰に動いてしまう状態を指します。関節弛緩性が過剰な動きにつながり、結果として怪我のリスクを高めることがあります。

メタ分析による研究報告では、過剰な柔軟性を持つ人は、そうでない人に比べて膝や肩の怪我が多いことが示されています。特に、膝の靭帯(前十字靭帯)損傷のリスクが高く、さらに損傷後の靭帯の回復が遅い傾向にあることも複数の研究で明らかになっています。これは、靭帯が緩いことで関節の安定性が低下し、急激な方向転換や着地などの際に、関節が過度にねじれたり、許容範囲を超えて動いてしまったりするためと考えられています。

「もっと柔らかくしなきゃ!」と闇雲にストレッチを頑張ることが、かえって逆効果になる可能性も考慮すべきでしょう。

 

筋肉の「バネ」の力も大切!関節を動かす「チームワーク」

 

私たちの体がスムーズに、そして力強く動くためには、筋肉、腱、関節が複雑に連携して機能しています。

  • **筋肉(骨格筋)**は、柔らかい筋線維で構成され、大きな力を生み出す「エンジン」のような役割を担います。
  • **腱(けん)**は、筋肉の両端に位置し、コラーゲンが束になった構造をしています。この腱は、まるで「バネ」のように力を加えると伸び、力がなくなると元に戻る「弾性」という特性を持っています。
  • 関節は、骨と骨をつなぐ部分であり、関節を構成する靭帯もまた、バネのような柔らかさを持ち、関節の可動性に関与しています。

例えば、立ち幅跳びで一度体を沈み込ませてから跳躍する「反動動作」では、筋肉だけでなく、腱や靭帯も伸ばされ、その際に「弾性エネルギー」として力が蓄えられます。この蓄えられた弾性エネルギーが、力を抜いた瞬間に解放されることで、よりパワフルで効率的な運動が可能になります。ランニングやジョギングも、この弾性エネルギーの蓄積と解放の連続によって成り立っています。

もし腱や靭帯が「柔らかすぎ」て、このバネとしての機能が十分に発揮できない場合、弾性エネルギーを効率的に蓄えたり解放したりすることが難しくなります。その結果、筋肉がより多くの力を自ら生み出さなければならなくなり、運動効率が低下したり、過度な筋疲労や、場合によっては代償動作による怪我のリスクを高めたりする可能性も考えられます。つまり、ある程度の「硬さ」や「張力」は、身体が効率的に機能し、怪我から身を守るために必要不可欠な要素であると言えるでしょう。

 

あなたにとっての「最適な柔軟性」を探る旅へ!

 

柔軟性は、個人の様々な要因によって異なります。主な因子としては、年齢、性差、そして筋肉質などの体格が挙げられます。

  • 年齢: 子どもは一般的に成人よりも柔軟性が高い傾向にありますが、これは関節の構造が未熟で「脆弱性」を伴う場合もあります。一方、加齢とともに柔軟性は徐々に低下し、これが転倒リスクの増加に繋がることが知られています。
  • 性差: 一般的に、女性は男性よりも柔軟性が高い傾向にあります。
  • 筋量: 研究によると、足関節の可動性と、その可動域で発揮できる力(可動力)の両方に筋量依存性があることが示されています。これは、柔軟性と筋力の関係が単純ではなく、複雑な相互作用があることを示唆しています。

競技によって求められる柔軟性の種類や程度も大きく異なります。体操やクラシックバレエといった競技では、非常に高い柔軟性がパフォーマンスに不可欠であり、有利に働きます。しかし、だからといって彼らが怪我と無縁であるわけではありません。一方、サッカーにおいては、関節が柔らかすぎると怪我のリスクが高まる可能性を示す研究がある一方で、関係性が見られなかったとする研究もあり、その関係性は複雑です。野球のような競技では、過度な柔軟性が怪我のリスクを高める可能性が指摘されており、柔軟性を確保しつつも、関節や腱に「適度な硬さ」が必要であると考えられています。

怪我を予防し、安全に運動を続けるためには、柔軟性だけに注目するのではなく、全身のバランス、筋力、正しい身体の使い方、そして適切な疲労管理など、多角的な視点からアプローチすることが不可欠です。

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