体がしなやかに動くのは、筋肉よりも「関節」のおかげ?

「筋肉を意識して動け!」は間違い?あなたの体の常識を覆す、動きの真実
「もっと力を入れて!」「この筋肉を意識して!」スポーツやトレーニングの場で、あるいは日常生活の中でも、そう指導されたり、自分自身に言い聞かせたりした経験はありませんか?私たちは、体が動くのは、筋肉が収縮することで、その筋肉が直接体を動かしている、と当たり前のように考えていますよね。だからこそ、「鍛えるべきは筋肉だ!」と信じて、筋力トレーニングに励む人も多いでしょう。でも、本当にそうでしょうか?もしかしたら、その常識、あなたの体の本当の動き方とは、ちょっと違うかもしれませんよ。
今までの常識的な考えでの考察
私たちは、腕を曲げるのは上腕二頭筋が縮むから、足を上げるのは太ももの筋肉が働くから、というように、個々の筋肉が収縮・弛緩することで体が動く、とシンプルに理解してきました。筋肉が体を動かす主役であり、その筋肉を強くすることが、動きを良くする、パフォーマンスを上げるための絶対的な方法だと信じてきたことでしょう。
違う角度からの考察
しかし、もし体が動くのは、個々の筋肉が単独で動いているのではなく、むしろ関節がスムーズに、そして連動して動くことで、その結果として筋肉が使われているとしたらどうでしょう?そして、この関節の動きこそが、あなたの心身の状態と深く関わっているとしたら…?
医学的な理由を添えて
私たちの体は、約200個の骨と、それらを繋ぐ多数の関節によって構成されています。筋肉は確かに収縮しますが、その収縮の目的は、多くの場合、関節を動かすことです。つまり、筋肉は関節を動かすための「道具」であり、主役は関節の「動き」そのものなのです。
例えば、腕を上げる動作を考えてみましょう。上腕二頭筋だけでなく、肩関節、肩甲骨、さらには背骨の動きまでが連動しています。もしどこかの関節の動きが制限されていれば、いくら特定の筋肉を意識しても、スムーズな動きはできません。関節が適切な可動域で、無理なく動くことによって、必要な筋肉が自然と効率よく使われるのです。
そして、この関節の動きの滑らかさは、私たちの体の反応と密接に関わっています。ストレスや緊張状態が続くと、私たちの体は無意識のうちに硬くなり、関節の動きも制限されやすくなります。これは、体を守るために交感神経が優位になり、筋肉が過緊張状態になるためです。肩こりや腰痛なども、多くの場合、筋肉の硬直だけでなく、関節の動きの悪さが根本にあることが多いのです。関節がスムーズに動かない状態は、体にとってストレスとなり、さらに体が緊張するという悪循環を生み出します。
この体の緊張、特に交感神経の過剰な活性化は、呼吸のパターンに大きく影響します。体が緊張して関節が硬くなると、胸郭の動きも制限され、呼吸は浅く、速くなりがちです。浅い呼吸は、さらに体を緊張させ、心身の緊張状態を悪化させてしまいます。逆に、深くゆっくりとした呼吸は、心身をリラックスさせ、筋肉の緊張を緩め、関節の可動域を広げる手助けをしてくれます。
「筋肉を意識して動く」というこれまでの常識は、決して間違いではありませんが、もし体がどこか不調を感じているなら、一度「関節の動き」に目を向けてみませんか?関節が自由に動くことで、あなたの体はもっとしなやかに、そして無駄な力みなく動けるようになるかもしれません。
あなたの体の動き、そして呼吸の関係について、改めてじっくり考えてみませんか?